
君の知らない七年間
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Summary
留学へ旅立ってから七年。
人生のすべてを捧げて愛した人が、新しい婚約者を連れて帰国した。
同じ週、七年に及ぶがん治療の中止を主治医から告げられた。
私の命はもう尽きかけていて、あとは自宅で最期を迎えるだけだった。
母に車椅子を押されて病院のロビーを出たとき、蓮と目が合った。
彼の唇に、冷たい嘲笑が浮かぶ。
「へえ。七年ぶりだっていうのに、ずいぶん無様な姿だな」
見下すような声が降ってくる。
「自分で歩くこともできないわけ?」
軽蔑に満ちたその響きを聞きながら、私はカーディガンの袖を静かに引き下げた。
手の甲にびっしりと残る、無数の点滴の針跡を隠すために。
「……何でもないの。ちょっと転んで、骨を折っちゃっただけ」
小さく答えると、蓮はまた鼻で笑った。
「そうかよ。ならちょうどいい。近々結婚式を挙げるんだ。お前、俺の婚約者のブライズメイドをやれよ」
私は穏やかに、うっすらと微笑んでみせた。
「ごめんね、無理そう。私、もうすぐすごく遠いところへ行くから」
そう言って母の手の甲を軽く叩き、車椅子を押してもらった。





